適材適所(選抜・配置・異動)

適材適所とは?

適材適所。よく使われる言葉ですが、本当の意味で適材適所ができている組織は驚くほど少ないです。ミス・トラブル・クレームのほとんどは、適材適所ができていないことが原因です。
職務に求められる資質と本人の資質をマッチングさせることで、育成の手間が減り、部下に対応する上司の時間・労力・精神的エネルギーが少なくなり、上司の疲弊を減らします。
また、生産性向上の新たな取り組みをするより、適材適所を実現するほうがムダな時間・コスト・労力を圧倒的に減らすことができます。

氷山モデル

マクレランドの提唱した氷山モデルでは、目に見える態度や行動、履歴書や職務経歴書に記載されている内容(知識やスキル、資格、経験など)は氷山が海面から出ているほんのわずかな部分であり、その人物の一部しか表わしていないとしています。しかし、人間の資質の大部分は水面下の目に見えない潜在的部分が占めます。人物に関する可視化された情報(知識やスキル、資格、経験など)の割合が10%程度で、それ以外の大部分が見えていないのだとすると、我々は人材に関する意思決定や判断基準について大きな過ちを犯している可能性もあるでしょう。

潜在資質とは、認知能力や性格、仕事への興味や動機などを指します。どんなに知識や経験が基準に合致していても、本人の潜在資質が職場で求められる人物像に合っていなければ、その人物が成果を上げることは難しいのです。

 

 

JOB FIT(ジョブ・フィット)

個人の特性と職務で必要とされる特性が合致することを「JOB FIT」と言います。職務に合致した適正な人材を選ぶことで、持てる能力を最大限に開発することができます。「JOB FIT」をクリアしたうえで、配置・異動・選抜をすることが、スムーズに求められる成果を出すことにつながります。それは、本人にとっても、上司にとっても、同僚にとっても、お客様にとってもプラスに働きます。

JOB FITしている場合のメリット

 ・育成に時間や手間がかからない

 ・ 本人のモチベーションが上がる

 ・本人にとっても楽に仕事が覚えられて成果を出しやすい

 ・職場の生産性が向上する

JOB FITしていない場合のデメリット

 ・育成に時間・労力・ストレスがかかる

 ・上司の時間が取られ、上司のパフォーマンスも落ちる

 ・ミスやトラブルが多い。お客様からの大きなクレームを引き起こす

 ・上司や同僚の失敗へのフォロー時間や労力が取られて残業が増える

 ・職場の生産性が落ちる

 ・職場内の不公平感が募る

 ・なかなか仕事が覚えられないことや失敗の多さがパワハラを誘発しがち

 ・うつ病の発症(本人・同僚・上司)

 ・早期の離職

・隠れコストが増える

JOB FITの手法

1.潜在資質を測るアセスメント:ProfileXT(PXT)を対象者に実施

オンラインで質問に回答していただき、対象者の潜在資質のデータを収集します。

 

2.職務で成功する人物像「パフォーマンスモデル」を構築する

職務で成功する人物像を「パフォーマンスモデル」と言います。パフォーマンスモデルの設計には、3つのアプローチがあります。3つのアプローチを駆使しながら、納得度の高い最適なパフォーマンスモデルを作り上げていきます。

①現職者分析

その職務に従事している現職者にPXTを受けていただき、ハイパフォーマーの傾向を分析し、設計していきます。

②職務モデルライブラリ

これまでに設計した1000職種を超えるパフォーマンスモデルが存在します。業種・職種・役職に応じて参考にすることができます。

③職務分析サーベイの実施とキーマンへのインタビュー

その職務を良く知るキーマンに57問のサーベイ質問に答えていただくことで、パフォーマンスモデルが仮設計できます。そこから、キーマンに仮のモデルを基にインタビューに答えていただき、モデルを微調整していきます。経営理念やビジョン・ミッション・バリューをモデルに反映させることも可能です。

3.ジョブ・マッチング

対象者のアセスメント結果と作成したパフォーマンスモデルをマッチングさせます。クリック一つでマッチング率が%で表示され、対象者のランキングもアウトプットできます。マッチング率の高い対象者を配置・異動・選抜することで「JOB FIT」を実現することができます。

 

4.人材ポートフォリオ

BIツール等を使用し、人材ポートフォリオを簡単に作成することができ、選抜・配置・異動やタレントマネジメントに活用できます。

事例

工場向け原材料の専門商社のT社は、全国に営業所を持っていたが、成績の悪い営業社員の対応に苦労していました。

営業所長の熱心な指導や特別な営業研修を実施しても成績は変わりません。そこで、PXTを活用し各営業所のハイパフォーマーとローパフォーマーの分析をすることにしました。ハイパフォーマーの潜在資質の傾向を出していく中で、営業所によってハイパフォーマーの傾向に2つのパターンがあることが明らかになりました。

Aタイプの営業所は、大企業の工場の中に営業所を置かせてもらい、生産計画に従った原材料の供給をすることがメインの業務でした。ここでは、修士号や博士号を持つエンジニアとの商談で、高度な専門用語を駆使しながら、ロジカルに考え、きれいな提案資料の作成とスマートなプレゼンテーションが求められていました。

一方、Bタイプの営業所は広範囲な営業エリアに点在する顧客に対して一人で営業車を運転してまわっていくことがメインの業務です。こちらでは、活動力や社交性、粘りの交渉力、自己管理能力、直観的判断力が求められていました。

そこで、それぞれのタイプの営業所において営業成績が振るわない、かつ、もう一方のタイプの営業所のハイパフォーマー特性に合致する営業社員6名を違うタイプの営業所に異動させました。その結果、特に営業所長が指導・育成しなくとも、半年後に異動した6名全員が営業予算を達成しました。

営業部長の「6名が水を得た魚のように活動している様には正直驚いた。成績を残せていないので能力を疑問視していたところもあったが完全に見込み違いでした。」という言葉が印象的でした。

 

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